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Kakogawa, Hyogo/Jan. 2018
 神戸から新快速に乗って西へ西へと45分。駅前は、整備された大きなローターリに何台もバスが止まっている。そこから車で10分ほど。どこまでも平らな土地が広がっている。だからか、自転車が多い。1990年に出来た集合住宅の一階西向きのそれも大きな道路に面した決して条件が良いという訳ではない住戸 56平米を全面改装する。
 現場を初めて確認した時にはすでにスケルトン状態。その第一印象は、とにかく大きな梁と元和室があった壁のコンクリートが妙に綺麗だったこと。元々は3LDKだった住戸を折れ戸で寝室を分けることはできるが基本的には、ワンルームとした。玄関土間を広めに確保し、大切な自転車や土のついたキャンプ等アウトドア用品を置くことができる。ステンレスのキッチンにダイニング、リビングと一体となったロシアンバーチの可動式棚。広幅のボルドーパインのフローリング。ターゲットはまさに、男のちょっとわがままな一人暮らし。事業主、現場で指揮を取った監督兼大工さん、そして僕。ほぼ皆同い年で出来上がった部屋でこの棚に何を置きたいかという議論で一頻り盛り上がる。
 そして、扉を閉めて鍵をかける時に監督兼大工さんがこの仕事は楽しかった笑顔で話したのが嬉しかった。
Photography:S.Yamashita

 

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