OLV

Osaka, Osaka/Apr. 2023
 もうあれからもう15年以上経っただろうか。狭小住宅というカテゴリーが建築界に湧き上がりこぞって雑誌や書籍がそれを取り上げていた時期があった。その時、関西の建築誌のライターといえば、kさん。kさんとは、よくお会いしたのを覚えている。
 すでに東京に越したkさんから数十年ぶりの電話のトーンは、当時と全く変わっておらず、互いに簡単な近況報告の後、大阪に住むイラストレーターの妹の家をリホームしてほしいとの依頼。取材当時からいつかはアトリエ・フィッシュに設計を頼みたいと思っていたと。嬉しいことだ。
 上町台地の大通り沿いの大型集合住宅の入り口で待ち合わせ。改装前の様子を小一時間見て、今住んでる家を小一時間見てその日は一旦解散。それからリモートで一回。あとはメールを数通、ほんの数通。サンプルを我々の事務所のほか二箇所にそれぞれ送り承認を取りながら設計を進め、あとは全てお任せ。距離があっても任せてくれたからここまで完成度の高い空間が出来上がったと思う。
 出来上がった家をゆっくり見渡しながら「大切に使わなきゃ」と静かに口にした言葉が嬉しかった。
Photography:S.Yamashita

 

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