SOP

Kobe, Hyogo/Jan. 2010
 この地球上に存在する殆どのモノは、「個人のモノ」、 「他人のモノ」、 「皆のモノ」の大きく3つに分類することができる。
  もし、仮に「個人のモノ」と「他人のモノ」の2つにしか分類できなかった場合、「個人のモノ」に不足があると、その不足を補うか、それを諦めるかのどちらかしか無い。
 もし、仮に「個人のモノ」と「他人のモノ」と「皆のモノ」の3つに分類でき、「個人のモノ」と「他人のモノ」の割合が少なく、「皆のモノ」の割合が多い場合、それはモノを置くスペースからモノを購入する費用まで軽減されることになる。  この建物は、「皆のモノ」の比率を極端に多くし「個人のモノ」、 「他人のモノ」の比率を極端に少なくしている。たとえば、個人で所有するにはあまりにも大きな車、自転車、複合機から打ち合わせ室、会議室、自動販売機、シャワー室といったモノから、電話交換、来客応対等のサービスまで。これらすべてが「皆のモノ」である。
 従来の屋上緑化や壁面緑化は、CO2削減には効果的かもしれないが、建物利用者がその緑を感じることは少ない。大切なのは対外的なアピールではなく、建物利用者はもちろん、建物に携わる人すべてが緑をより身近に感じられることである。
 各階の床レベルの外壁には、グランドコンテナと名付けられたプランターボックスがある。これは、それぞれの階のそれぞれの部屋に地盤面が在ると想定している。各部屋の地窓からは、グランドコンテナに植えられた植栽が自然と目に入る。日常身を置く執務空間で身近に緑を感じる事で建物への愛着が増し、緑化への理解を深め、さらには環境への関心も高まる事も期待している。
 至極当たり前のことだが、太陽の光、風、雨水等様々な自然エネルギーも「皆のモノ」に含まれている。 この建物では、極力「個人のモノ」を減らし「皆のモノ」を増やすことでエネルギーの無駄をなくすという、非常にシンプルでコンパクトなシステムを目指している。
Photography:S.Yamashita

-->